インフルエンザは38℃以上の高熱を発症するだけでなく、肺炎などの重い合併症を引き起こす危険があります。
重症化すると、肺炎やインフルエンザ脳症を引き起こし、命に関わる危険がある。高齢者や乳幼児は、特に注意が必要。
ワクチンを接種し、日常生活で対策をとりながら感染を予防しましょう。
目次
インフルエンザの症状
●38℃以上の発熱
●関節痛、筋肉痛
●頭痛
●倦怠感
●鼻水
●のどの痛み
●咳
インフルエンザの典型的な症状は、38℃以上の発熱、関節痛や筋肉痛、頭痛、倦怠感、鼻水、のどの痛み、咳などの全身症状です。
これらの症状が現れた場合には医療機関の受診を考慮してください。
軽症例では、あまり発熱がなく、鼻水やのどの痛み、咳だけのこともあります。
また、ほとんど症状の出ない無症候性感染も多いとされています。
これらは治療というよりは、医療機関や老人保健施設を含む長期療養施設などでの感染対策が重要となります。
合併症
高齢者や乳幼児など抵抗力が弱い人がインフルエンザにかかると、合併症を起こして重症化することがあります。
高齢者に多いのは肺炎です。
インフルエンザウイルスにより、気道の粘膜の免疫の働きが低下し、肺に細菌が侵入しやすくなって起こります。
肺炎が起こると、熱や咳が長引き、黄色や緑色の膿のような痰が出ます。息苦しさや胸の痛みも起こります。
ただし、高齢者ではこれらの症状が現れず、「何となく元気がない」「食欲がない」といった症状のみが現れる場合もあるので、注意が必要です。
インフルエンザの治療薬
インフルエンザの治療薬には抗インフルエンザウイルス薬があります。
発熱期間を1日程度短縮することができ、重症化を防ぐ効果があります。
現在、抗インフルエンザウイルス薬の中心は、ウイルスを細胞内に閉じ込めて、ほかの細胞へ広がるのを防ぐ働きをするノイラミニダーゼ阻害薬です。
内服薬のオセルタミビル(タミフルやオセルタミビル)をはじめ、吸入薬のザナミビル(リレンザ)、ラニナミビル(イナビル)、点滴薬のペラミビル(ラピアクタ)があります。
また、今年になって、ノイラミニダーゼ阻害薬とは異なり、細胞内でのウイルスの増殖そのものを抑える働きをする新しい薬としてバロキサビル(ゾフルーザ)が承認され、健康保険が適用されました。
1回の服用で、飲み忘れの心配が少ないのが利点です。
インフルエンザウイルスの種類
インフルエンザウイルスには、A型、B型、C型があります。
冬に流行する季節性のインフルエンザはA型とB型で、特にA型は数十年ごとに新型ウイルスが出現して汎世界流行(パンデミック)を起こします。
C型は季節性に流行することはなく散発性に発生します。
インフルエンザウイルスの特徴は、驚異的なスピードで変異し続けることです。
人や鳥などの細胞内に入ったインフルエンザウイルスは、数時間で数千倍に増殖します。
そして、1000~1万回の増殖に1回の割合で、遺伝子変異が起こります。
その結果、人の免疫機能をかいくぐる能力のある変異をもったウイルスがまた別の人に感染して生き残っていくのです。